太陽光発電の住宅用と産業用は何が違うの?
これから太陽光発電を取り入れようと思っている人にとって気になるのが「住宅用と産業用とでは、どのような違いがあるのか」ではないでしょうか?太陽光発電には住宅用(家庭用)と産業用の2種類があり、それぞれで特徴が異なるため注意が必要です。今回は太陽光発電の住宅用と産業用との主な違いを、全部で3つ解説します。
住宅用・産業用の太陽光発電は出力に違いがある
もっとも大きな違いのひとつが、太陽光発電の出力といえるでしょう。住宅用の出力は10kW未満であることに対しで、産業用の出力は10kW以上です。出力とは屋根に設置した太陽光発電の装置が、どのくらい発電できるかを数値化したものを指します。出力単位はkW(キロワット)で「システム容量」や「出力容量」と呼ばれることもあるでしょう。出力の計算は太陽光パネル1枚あたりの出力量合計、またはパワーコンディショナーの容量合計を比較して、低いほうの数値で決まります。
たとえば、太陽光パネルが4kW、パワーコンディショナーが5kWだった場合、より低い太陽光パネルの4kWが全体の出力となるのです。一般住宅でも産業用の太陽光発電を設置することは可能です。その場合は、産業用の太陽光発電として認識され、産業用のFIT申請ができます。ただし、一般的な住宅の屋根に、産業用のパネルを設置できるケースはほとんどないのが実際のところでしょう。
余剰買取制度の違い
太陽光発電を取り入れる大きなメリットとなるのが、発電した電気を電力会社に買い取ってもらえることです。売電方法は主に発電した電気をすべて買い取ってもらう「全量売電」と、まずは自家消費を優先して、あまった分だけを買い取ってもらう「余剰売電」の2種類があります。
以前は10kW以上の出力を持つ産業用で全量売電が認められていましたが、2020年度からは50kW未満の出力では産業用であっても、全量売電ができなくなりました。つまり、全量売電をしたい場合は、50kW以上を出力できる設備を設ける必要があるということです。家庭用は余剰売電に限定されます。また、家庭用と産業用とでは、以下のような余剰買取制度の違いがあるので理解しておきましょう。
売電単価
まずは売電単価です。2021年度の1kWあたりの売電単価は、次のようになっています。
・住宅用(10kW未満の出力)19円
・産業用(10kW以上50kW未満の出力)12円+税
・産業用(50kW以上250kW未満の出力)11円+税
・産業用(250kW以上)入札制度によって決定
固定価格買取の期間
太陽光発電にはFIT(固定価格買取制度)というものが適用されます。発電した電力を電力会社が一定価格で、一定期間買い取ることを国が保障する制度のことです。2021年度の固定価格買取期間は次のようになっています。
・住宅用(10kW未満の出力)10年間
・産業用(10kW以上50kW未満の出力)20年間
・産業用(50kW以上250kW未満の出力)20年間
・産業用(250kW以上)20年間
売電単価だけを見ると住宅用のほうが産業用よりも高く、売電によって稼げると思いがちです。しかし、固定価格買期間は産業用のほうが10年長いため、長期的に見ると産業用のほうが有利といえるでしょう。
初期費用
産業用は家庭用と比べて出力が大きいことから、初期段階における導入費用も当然のことながら高くなりがちです。しかし、出力費用が高ければ高いものほど、1kWあたりのパネルや工事費用はリーズナブルになるため、総合的な費用対効果は産業用のほうが優れています。
税金
最後の違いは税金です。たとえば、会社員として勤務している場合、会社からの給与所得以外に20万円以上の収入があると、別で確定申告を行わなければいけません。出力が大きくなればなるほど売電収入も増えることから、産業用の太陽光発電を取り入れると、確定申告をする手間が生じる可能性があるでしょう。
受けられる補助金の違い
最後は受けられる補助金の違いです。住宅用の太陽光発電装置を設置する場合、居住している自治体によっては補助金を受けられる可能性があります。一方、産業用で売電が目的とした場合は、利用できる補助金制度はほとんどないと思ってよいでしょう。しかし、売電はなく自家消費を目的にしている場合、利用できる補助金制度があるかもしれません。2022年度時点で、国の補助金制度はありません。2014年に終了しました。
まとめ
太陽光発電には大きく住宅用と産業用の2種類があり、それぞれで特徴が異なります。まず、10kW未満の出力を持つものは住宅用、10kW以上の出力を持つものは産業用と覚えておきましょう。発電した電気の買取には全量売電と余剰売電の2つがあり、住宅用はすべて余剰売電、産業用は50kW未満の出力のものが余剰売電となっています。全量売電を希望する場合は、50kW以上のものを設置しなければいけません。近年は電気代がどんどん高くなっていることから、売電よりも自家消費したほうがお得なケースが多いでしょう。電気代が高くなればなるほど、自家消費によって毎月の出費がセーブできます。それぞれの状況に合わせて、住宅用か産業用かを検討してみてください。