これからどうなる?太陽光発電の今後と注目すべき動向とは
再生可能エネルギーの代表格として広く普及している太陽光発電ですが、近年は導入コストや発電効率の進化に加え、制度の見直しや新たな活用法にも注目が集まっています。これから先、太陽光発電はどのように進化し、私たちの暮らしに影響を与えていくのでしょうか。そこで本記事では、太陽光発電の今後について解説します。
太陽光発電の現状をまず理解しよう
太陽光発電は、地球にやさしいエネルギーとして注目されています。まずは、太陽光発電の現状について知っておきましょう。
世界での太陽光発電の使われ方を見てみよう
太陽光発電は、日本やドイツ、スペインなどで電気全体の8%以上を占めるまでに広がっているのが現状です。火力発電や水力発電に比べるとまだ小さな割合ですが、それでも無視できない発電方法として利用されています。一方で、中国やアメリカのような大きな国では、全体に占める割合は少ないものの、発電量自体は非常に多く、大きなスケールで使われています。
太陽光発電は環境にやさしい発電方法
太陽光発電は、二酸化炭素を出さずに電気をつくる方法として知られています。そのため、地球温暖化の原因となるガスを減らす取り組みにもつながっています。最近では日本でも多くの家庭や施設に設置されており、全国的に利用が広がりつつあるのです。環境に配慮した発電方法として、多くの人に受け入れられているのが現在の状況です。
太陽光発電が抱える今後の課題とは?現時点で見えている問題点
環境にやさしいエネルギーとして広く利用されている太陽光発電ですが、その運用や普及の中では、いくつかの課題も見えてきています。ここでは、太陽光発電が現在抱えている主な課題について紹介します。
売電の終了でどうなる?卒FITと向き合う必要性
これまで太陽光発電の魅力のひとつだった「売電による収入」ですが、固定価格での買取制度(FIT)が終わる家庭や企業が増えてきています。これにより、売電による経済的なメリットが小さくなっていると感じる人も多いようです。
こうした状況では、売ることよりも「自分で使う」自家消費への切り替えが注目されています。発電した電気を無駄にせず、蓄電池などで上手に使うことが、電気代の節約にもつながる現実的な対応策といえるでしょう。
設置場所によっては環境への影響もある
太陽光発電は環境にやさしいエネルギーですが、その設置場所によっては自然を壊してしまう可能性もあります。たとえば山や森林を切り開いてメガソーラーを設置することは、土砂崩れや景観の悪化などの問題を引き起こすことがあります。
本来、自然を守るための太陽光発電が原因で環境を損ねてしまっては意味がありません。そのため、遊休地や空港、溜池の上、駐車場など、自然を壊さずに活用できる場所の選定が重要です。
発電設備の「その後」にも注意が必要
太陽光発電の事業が終わったあと、設備をそのまま放置したり、パネルを不法投棄したりするケースが問題になっています。これに対応するため、国は「再エネ特措法」を改正し、あらかじめ廃棄費用を徴収して外部で管理する制度を整えました。
これにより、発電事業者が変わっても廃棄費用が確保され、設備がきちんと処分されるしくみが作られています。こうした仕組みづくりは、地域との信頼関係にもつながっています。
太陽光発電の未来はどうなる?これから広がる可能性に注目
地球温暖化対策やエネルギー自給の面から、太陽光発電の役割がますます大きくなっています。以下では、太陽光発電がこれからどのように発展していくのか、未来に向けた動きに注目してみましょう。
カーボンニュートラル実現に向けて期待が高まる太陽光発電
2050年までにカーボンニュートラルを達成するには、再生可能エネルギーの導入が欠かせません。その中でも、太陽光発電は技術の進化により発電効率が上がり、導入コストも下がってきています。
その結果、今後は全体の発電量に占める太陽光の割合がもっと増えていくと考えられています。環境へのやさしさと扱いやすさの両方を兼ね備えたエネルギーとして、太陽光発電は今後も拡大していくでしょう。
エネルギーを自分の国でまかなうためにも重要な発電方法
日本はエネルギー資源が少ない国なので、海外から燃料を輸入しなければなりません。ですが、世界の情勢が不安定になると、その輸入が難しくなったり、コストが高くなったりすることもあります。
実際に、電気代の上昇を感じている人も多いでしょう。そんな中、国内で電気を作ることができる太陽光発電は、エネルギーの安定供給という面でも、これからますます大切になってくる存在といえます。
軽くて自由に使える新しい太陽電池の開発も進んでいる
今使われている太陽電池は、発電はできても大きくて重たいという課題があります。そのため、屋根が弱い家やスペースのない場所には設置できないこともあるのです。
しかし、最近ではもっと軽くて、曲げたり貼ったりしやすい新しいタイプの太陽電池の研究が進んでいます。これにより、これまで設置が難しかった場所にも太陽光発電を広げることができるようになり、活用の幅が広がるでしょう。
まとめ
太陽光発電は、環境にやさしいエネルギーとして注目される一方で、売電制度の見直しや設置場所の問題、設備の廃棄など課題も抱えています。これらを理解したうえで適切に対応することが大切です。また、技術の進歩や導入の広がりにより、太陽光発電はますます重要な役割を果たすと期待されています。今後も現状の課題を乗り越えながら、持続可能なエネルギー社会の実現に向けて活躍していくでしょう。