太陽光発電の維持費はいくら?相場や具体的な内訳をチェック!
太陽光発電といえば、無料で電気が使えるというイメージがありますが、実際には運用に維持費が発生します。そのため、導入後に維持費がかかるとは知らなかったとならないように、導入を検討している段階から維持費の相場を覚えておくとよいでしょう。そこで今回は、太陽光発電の維持費の相場や詳しい内訳などを解説します。
太陽光発電の運用に維持費が必要な理由
太陽光発電の運用にはなぜ維持費が必要なのでしょうか。ここでは、太陽光発電の運用に維持費が必要な理由を解説します。
メンテナンスの努力義務
2017年に改正されたFIT法によって、メンテナンスについての追加がありました。「発電性能の維持に対する取り組み」として、電気事業法にもとづいた保守点検の取り組みを目的としています。これにより、今まで対象外だったFIT制度が適用されている住宅用の太陽光発電(50kW未満)も対象となりました。ただし、努力義務であるため違反しても罰則はありません。
発電量の低下を防ぐ
太陽光パネルを草木が覆って日光を遮っていたり、パネルの表面に汚れやゴミが付着したりしていると、発電量が低下する可能性があります。また、汚れやゴミをそのまま放置しておくと、ホットスポットと呼ばれる局所的に発熱する箇所が発生するかもしれません。ホットスポットは、100℃以上になると火災の原因となるので注意が必要です。
故障などを防ぐ
太陽光発電システムを構成する機器は、太陽光パネル、蓄電池、パワーコンディショナーですが、これらには一般的な使用年数の目安があります。太陽光パネルは20~30年、蓄電池は10~15年、パワコンは15~20年です。しかし、使用環境によっては使用年数の目安より早く故障することも考えられます。そのため、定期的なメンテナンスにかかる維持費は必要不可欠です。
太陽光発電の維持費相場
太陽光発電に維持費が必要な理由はわかりましたが、維持費はどのくらいかかるのでしょうか。ここでは太陽光発電の維持費相場について解説します。
一般住宅用
一般住宅用の太陽光発電の容量を5kWと想定した場合、4年ごとの定期点検費用は約2.9万円で、パワコンの交換を20年に1回として約20.9万円とされています。これを1kWあたりの年間維持費に換算すると、約3,500円が維持費の相場です。
産業用
資源エネルギー庁が公表したデータによると、10kW以上の産業用太陽光発電の年間維持費は、平均値が0.54万円/kWで中央値が0.43万円/kWです。
太陽光発電の維持費の詳しい内訳
太陽光発電の維持費は何に使われているのでしょうか。ここでは、太陽光発電の維持費の詳しい内訳について解説します。
定期点検費用
定期点検は3~4年に1回以上する努力義務があり、費用は1~3万円が一般的です。ただし、施工会社が無料で行う場合もあります。
設備周辺の除草や清掃
設備周辺の除草や清掃は、年に2~3回行うことが推奨されています。太陽光パネルの枚数や除草面積によって違いがありますが、年間約20万円を目安としましょう。
保険料
太陽光発電システムの導入は高額なため、故障した場合に備えて保険や保証に加入することがおすすめです。保険料の目安は一般的に初期費用の2.5~3%といわれています。
故障時の修理費用
故障時の修理費用は、事前にどのくらいかかるか覚えておきましょう。太陽光パネル1枚あたりの修理費用は10~15万円、パワコンの修理費用は約3万円で買い替えは20~30万円、売電メーターの修理費用は1~2万円です。
固定資産税
法人が太陽光発電を導入する場合は、固定資産税の対象となります。
所得税
FIT制度を活用して得た売電収入の所得に応じて課税されます。
廃棄費用
設備が寿命を迎えると廃棄費用が発生するため、導入にかかった費用の5%を見込んでおきましょう。
太陽光発電の維持費以外にかかる諸費用
太陽光発電にかかる費用は維持費だけではありません。ここでは、太陽光発電の維持費以外にかかる諸費用について解説します。
土地購入費
屋根や屋上が利用できない場合は土地を購入する必要があり、購入費用が発生します。安い土地を購入し、売電収入で土地購入費を回収できれば収入を得ることが可能です。
設備購入費用
設備購入費用は、太陽光発電システムを購入する費用のことです。初期費用を抑えたい場合は、中古品も販売されています。
設置費用
太陽光発電システムを設置する際にも費用が発生します。屋根に設置する場合は、屋根の形状によっては足場を組む必要もあるため、追加費用がかかることも覚えておきましょう。また、助成金や補助金を支給している自治体もあるため、活用することがおすすめです。
太陽光発電の運用には維持費が必要です。その理由は、一般住宅用の太陽光発電にもメンテナンスの努力義務が追加されたこと、発電量の低下を防ぐための費用がかかること、故障などを防ぐための費用がかかることが挙げられます。維持費の相場は、一般住宅用で年間約3,500円、産業用で年間の平均値が0.54万円/kWです。維持費の詳しい内訳は、定期点検費用、設備周辺の除草や清掃、保険料、故障時の修理費用、固定資産税、所得税、廃棄費用。維持費以外にかかる諸経費には、土地購入費、設備購入費、設置費用があります。